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「領域」というのは、物流コストの計算対象として物理的にどの範囲を見るのかという切り口である。
企業は、メーカーならば、原材料や部品を調達し、自社製品を製造し、顧客・ユーザーに届けるという流れの中で物流にかかわっている。
流通業も製造という過程がないだけで、商品を仕入れ、顧客に届けるという点では同じである。
また、返品や回収など戻ってくる物流もある。
これらを区分したのが「領域」である。
領域別という区分は、物流コスト総額の把握という点では、これらすべての領域を対象に計算しなさいと示しているわけである。
これまでの物流コスト算定方式と物流ABCはどう違う?それはともかくとして、まず責任区分をコストで明示したいとなれば、当然、それを可能にするコスト計算方式が必要なことはいうまでもない。
いくら、こうすべきだといっても、それを実際に行うことができなければ実務的には机上の空論になってしまう。
そこで登場してきたのが、「ABC」と呼ばれる原価計算方式である。
この計算方式を使えば、物流部門と物流を発生させている部門とのコスト責任の区分は明確にできる。
これによって物流コストを管理に使うことが初めて可能になるのだ。
その意味では、ABCがようやく物流コスト管理を現実のものにしようとしているといってよい。
「機能」とは、領域と同じく、これらすべての機能が物流コスト計算の対象になるということを示している。
「支払形態」とは、物流を自社で行っている場合、これらの勘定科目の中に該当する費用が存在するということを示している。
物流コストを計算する場合、自社で行っている物流にかかわるコストをこれらの勘定科目から抽出して計算する必要性を示しているのである。
物流コストは、これらすべてを対象に計算すると、その総額がつかめるというのが、これまでの原価計算のねらいであった。
物流コストの「総額」をつかむという目的が鮮明にあらわれているといえよう。
ただ、実務的には、これらすべてを対象とした計算は行われてこなかった。
領域、機能、支払形態それぞれにおいて、各社で計算しやすい範囲で行われてきたというのが実態である。
それゆえ、当然、各社によって計算の範囲が異なるので、物流コストを企業間で比較するということは不可能というのが常識となっている。
当然、業界平均値なるコストも存在しない。
あくまでも自社の物流コストの大きさを知る、あるいは時系列で比較するという範囲でしか活用できなかったのである。
また、計算結果を見て、たとえば全体の物流コストの七○%が輸送にかかっていることがわかったとして、それで管理行動を起こすことはできなかった。
これが、これまでの原価計算の特徴である。
それでは、これまでの原価計算と新しい原価計算である物流ABCとはどのような関係にあるのであろうか。
詳しくはこれから説明するが、簡単にいってしまえば、これまでの方式の機能別計算の「機能」が「アクティビティ」に、「領域」が「算定目的」に換わるだけであり、計算構造自体は何も変わらないと理解されて結構である。
物流管理において物流コストはこう活用する物流ABCをある物流センターに導入するという仮定で説明をしていきたい。
まず、物流ABCとは何かということであるが、その特徴を一言でいうと、それは「アクティビティビティ別一処理当り単価である。
なぜ、このような単価が必要になるかについては、このあと説明するので、ここでは「アクティビティ単価」を出すことで管理に使えるのだとさて、それでは物流ABCが責任区分という点でどう有効に機能するのかという点について見ていきたいが、その前に物流ABCとはどのような原価計算かという点についての説明が必要だろう。
ここで物流ABCについての説明をしたいと思うが、物流ABCについてはすでに知っている、という方は、ここを飛ばして次に進んでいただきたい。
(1)物流ABCを理解するポイント鯵物流ABCの基礎知識物流ABCの実際の活用例どのように計算し、どう分析するのか?に原価を集める」という点にある。
人件費、スペース費、機械設備費等についてはよくご存知と思われる。
物流センターに投入されている資源に関する原価である。
これが、そのセンターで発生しているコストである。
物流ABCでは、これらのコストを「アクティビティ」に集めるのである。
コストが「投入要素別原価」であり、「アクティビティ別原価」と呼ばれる。
ここでは「集める」という言葉を使っているが、原価計算上は「配分する」ということである。
人件費のうちどれくらいが入庫に費やされたのか、ピッキングに費やされたのかという「配分基準」をもとに配分するのである。
このような配分ができれば、投入要素別原価をアクティビティに集めることができる。
アクティビティに原価を集めることが、物流ABCの出発点ではあるが、集めただけではまだ管理には使えない。
ケースピッキングというアクティビティに月間一○○万円かかっていたことがわかったとしても、それだけの情報では管理行動を起こすことはできないからである。
そこで、アクティビティに集めた原価を管理に使うためには、もう一段階の計算が必要になる。
どういう計算かというと、「アクティビティ単価」を出すための計算である。
たとえば、「ケースピッキングを一ケースやるのにいくらかかる」というアクティビティ。
これが、物流ABCの算定ステップである。
まず、@アクティビティの設定が必要である。
それからA投入要素別原価の把握を行う。
この原価をアクティビティに配分するわけであるが、当然のことながら、そのための「配分基準」が必要になる。
この配分基準がつかめれば、これで投入要素別原価をアクティビティに配分すれば、「アクティビティ原価」が算定できる。
次にアクティビティ単価を出すわけであるが、そのために必要になるデータがB「アクティビティ別処理量」いうことをまず知っておいていただきたい。
このように、投入要素別原価から始まりアクティビティ単価を出すまでが、物流ABCという原価計算の流れである。
これで物流ABCという計算は終わりである。
あとは、このアクティビティ単価を使って、さまざまな管理に使えばよい。
物流コストについての責任区分の明確化も、この単価があることで可能になるのである。
それについては次に譲るとして、この計算過程についてもう少し見ていきたい。
たとえば、ケースピッキングというアクティビティの原価が月一○○万円だったとして、その月一○万ケースを処理したとしたら、一○○万円を一○万ケースで割ると一ケース当の把握である。
(2)物流ABC算定のステップ物流管理において物流コストはこう活用する投入要素別コストの算定・経理関係書類などから計算配分基準の把握・アクティビティ別作業時間の測定。
スペース使用比率の測定・消耗品使用量の把握などアクティビティ別処理量の把握。
各種データベース、伝票から把握・作業状況の実測など物流ABCにおいては、アクティビティの設定から始まることはいうまでもない。
ここでアクティビティとは、文字どおり「活動」であるが、単純に「作業」と理解してよい。
ただ、作業といっても切り方によってレベルはいろいろある。
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